本日は、前回の連載記事【ミニマルな僕らはループペダルを使おうぜ】第1回の続編ということで、ループペダルの魅力に気付き始めたギタリスト各位に向け更なる深淵を教えていく。
第1回では軽音楽部でバンドが組めずに困り切っている初心者ギタリストに、エド・シーランの”Shape Of You”のライブ動画で、素晴らしいループペダルの技術をお伝え出来たと思う。
あれから君たちはこぞってBOSSのRC-300をサウンドハウスで買い漁り、自宅やスタジオで独りの時間をさぞ満喫したであろう。
だが、ループペダルは独りで使うだけのものではない。
複数人のバンドの中でもその真価を発揮することができるのだ。
この連載記事では徐々にディープな部分を掘り下げていく予定だが、流石に新しい機材や演奏方法を一気に語っても皆困惑して「あ、、、やっぱり僕独りで結構です、、よくわからないんで、、、」とか言い出すのは目に見えている。
オタクの語りはいつだって急発進になるからダメなのだ。
だが安心して欲しい。
これはそんなループペダルを知りたての初心者に向けて書いている記事なのだから、初っ端からブーストをかけて読者を置き去りにしたりはしない。
今回の記事ではギタリスト御用達の名器ことLINE6のDL4と、それを使いこなしてイカしたギターリフを奏でるバンドMinus the Bearからその魅力を伝えていく。
そのバンド知らないんで読むのやめます。
ちょっと待って。第2回にしてマイナーバンド(失礼)を取り上げたからってページを去ろうとしないで。
流石に筆者もこのバンドを第2回で取り上げるべきか数秒悩んだのだが、よく考えて欲しい。
初手がエド・シーランぞ?多分どんなバンドを取り上げてもそれよかマイナーになるだろ。
そんならいっそ振り切ってマイナーの中のマイナー、なんならバンド名にマイナスとか入っちゃってるMinus the Bearを取り上げた方が清々しいだろうと思ったのだ(脳死)
もちろん彼らがどういうバンドなのかもこの連載記事では少しばかり語ろうと思うので、ギタリスト諸君もこの記事を最後まで読んだ暁には他の軽音部員に「 Minus the Bearのコピバンしない?」と声をかけたくなるはずだ。百発百中で「誰だよ」って突っ込まれることは覚悟しろ。
Minus the Bear について
今回の題材となるMinus the Bearはアメリカのシアトルで結成された5人組のインディー・ロックバンドだ。結成前までメンバーはそれぞれハードコアバンドを他で組んで活動していた背景もあり、高い演奏技術を持っている。
音楽性としてはハードコアを基軸としつつもポストロックやエレクトロの要素を盛り込んでおり、彼らにしか生み出せない楽曲も多数存在する。その代表曲のひとつが”Knights”だ
いやあ、すっげえ、よく思いついたなこのリフ。
イントロから聴くものを唖然とさせる斬新なギターリフと、Erin Tateの叩くドラムとの絡み合いが最高に気持ちいい。
今回はこの”Knight”のギターリフの演奏に焦点を当てるのだが、Minus the Bearはプログレッシヴな曲展開や、ボーカルのJake SniderによるEMOシーンと親和性の高い歌声も非常に魅力的なのでこの曲で虜になったリスナーは是非他の曲もチェックして欲しい。解散しちゃったんだけどね(泣
このリフ、音源だけでライブでは無理でしょ?
筆者も最初に音源だけ聞いた時、上の見出しと同じ感想を抱いた。そりゃそうだ。普通のギターであんなリフ弾けるか。
そもそもリードギターのリフが明らかに2つ聴こえるし。
どうせライブの時もドラマーが同期音源とか流しながら演奏してるんでしょ?
そんなことを考えながら”Knight”のライブ動画を探してたら見つけた。
いや、涼しい顔で2人分のリードギター鳴らしとる奴おるな。
初見だとマジで何してるのか全然分からなくて笑ってしまった。
リードギターのDave Knudsonがずっと両足でエフェクターを踏み踏みしてることしか分からん。
ちょっと可愛い。
彼が両足で踏んでいるエフェクターは、LINE6というメーカーが販売しているDL4というエフェクターである。
名前の通り、本来は様々なディレイエフェクターをかけることを目的としたペダルなのだが、その中の機能に、この連載記事のテーマでもあるループ機能が搭載されているのだ。
いや、それでも何してるか分からんて。
そんな君たちにここで朗報。彼の足元に置いてあるエフェクターボードの画像だってこのネット社会の海には転がっているのだ。
きっとそこに”Knight”のカオスなリフのタネがあるはずだ。
ということで早速見てみよう。
解散です。
大人しくエド・シーランの”Shape Of You”だけ弾いておきましょう。
DL4の機能を活かした最高のリフ
弱音ばかり吐いているわけにもいかないので、解説に移る。
まず”Knight”のリフを弾くためにDL4を2台準備しよう。
無理?知らん。持ってそうな友達からパクれ。
このDL4というループエフェクターはディレイだけでも名器と言われているが、ループ機能に関しても他のエフェクターには無い機能がいくつかある。その一つが、ワンショット機能だ。
ワンショット機能というのは文字通り、1回のみ再生するという機能で、本来なら長時間ループするために録音したフレーズを一度限り再生させて終わらすものだ。いわゆる舞台でSEなどを流す際のポン出しというやつである。
このワンショット機能と、本来のループ再生機能を絡めて”Knight”のリフは奏でることが出来る。
仕組みはこうだ。
①まずは2台のDL4のうち、右のDL4に1音目で鳴らすコードを録音する。
②次にそのコードの半拍の長さで2・3音目に鳴るコードを左のDL4に録音する。
(非常に短いフレーズなので、何度か録音には)
③ここまで来たら、準備完了だ。まずは右のDL4のワンショットスイッチを1度押す。
④2・3音目を鳴らすために左のDL4のワンショットを2度押す。
⑤4音目に再び右のDL4のワンショットを押し、直後の連続するフレーズを鳴らすため左のDL4で通常のループ再生スイッチを押す。
⑥ループを8回繰り返したら、左のDL4のループを止めつつ再び右のDL4に録音されている1音目を鳴らすためにそれぞれのDL4を両足で踏み、再生と停止を同時に行う。
この後は再び④に戻り、繰り返すことで”Knight”のイカしたグリッチギターリフが完成する。
後はこのループペダルのリフを器用に両足で鳴らしながら、両手で別のギターフレーズを弾くことで君もMinus the BearのDave Knudsonになることが出来る(出来ない)
ここまで解説記事を書いた後にYouTubeで探してみたら、しれっと彼が直々に”Knight”のリフを解説している動画を見つけたので下に貼っておく。
この記事と合わせて視聴すれば君も完璧に演奏ができるはずだ。
彼のエフェクターボードにはDL4が4台あったけど残りの2台は何に使うかだって?
そんなこと知らん。スペアかなんかだろ。
DL4を使っているギタリストはかなり多い。
さて第2回のMinus the Bear編はいかがだっただろうか。
今回初登場したLINE6のDL4は、かなり昔から販売されているエフェクターだが実は現在も多くのギタリストが使用しているほど、魅力的な機能が多数存在する。
次回は、このDL4を用いて更にアグレッシブなリフを鳴らすバンドBattlesを取り上げていこうと思う。
(解説が難しすぎて心が折れた場合はヒカキンセイキン兄弟によるPit Bullのカバー動画レビューになります。)
それではまた次回。