コラム

ダイパリメイク発売まで2か月切ったのでポケモンシリーズ屈指の名戦闘BGMを独断と偏見で選んでみた


待ちに待ったダイパリメイクの発売

1996年に発売された「ポケットモンスター赤・緑」を皮切りに、常に第一線を走り続けてきたポケモンシリーズが今年、節目の25周年を迎えた。そして同年、シリーズの中でも名作と名高い「ダイヤモンド・パール(以下DP)」のリメイク版「ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール」が11月19日に満を持して発売予定だ。

今年の私的イベントランキングではオリンピックと並び1位だ。 楽しみでしかない。

当時バチバチに世代だった私は、「ルビー・サファイア(以下RS)」を経て、DPを機にポケモンとズブズブの関係になっていった。当時のクラスメイトに波乗りバグを流行らせ、ダークライやシェイミを乱獲するよう促した多くの一人だ。そしてもちろん真っ暗な中動かなくなり、イオンモールのゲーム売り場にお世話になった一人でもある。

しかし「プラチナ(以下PT)」~「ブラック・ホワイト(以下BW)」の時期に音楽と出会い、ポケモンから徐々に離れていた大学時代のある日、ふとYoutubeに流れてきたおすすめ動画に手を出してしまった。

そう、ポケモンの戦闘BGM集だ。ポケモンから離れていったといえど、BWや「X・Y」シリーズまでは必修科目としてプレイしてきた。しかしこれを機に、同シリーズのストーリーや戦闘からではなくBGMから楽しむという変わった癖ができてしまったのだ。

「雰囲気を変える」役割を持つ戦闘BGM

数あるBGMの中でも私は戦闘BGMが群を抜けて好きだ。もちろんわかりやすくかっこいいということもあるが、それだけではない。

BGMとはBackGround Musicの略称である。名前からわかる通り、役割としては主役ではない。実際にゲーム内の多くのBGMは雰囲気を出すための音楽が多く、プレイに集中していればBGMの存在を忘れるときもある。

その中でも、戦闘BGMは上記に当てはまらないものが多い。通常のBGMが「雰囲気を合わせる」ためにあるのに対し、戦闘BGMは「雰囲気を変える」にあるからだ。

その中でも対重要トレーナー戦の場合はそれが顕著だ。戦闘前に会話があることで間ができ、雰囲気を変える前準備を整える。そこで短いフレーズインから入るBGMがプレイヤーをハッとさせ、緊張感のある戦闘場面に違和感なく突入する。

こういった、「BGMが主導となってゲームが展開する」場面は少ないだろう。

実は赤緑からこの手法が使われている。ゲームフリーク恐ろしや。

独断と偏見で選んだ最高の戦闘BGM

前置きはここまでにして、本題である「最高の戦闘BGM」について、100%主観で紹介する。

前提として、選択範囲が「いわゆる御三家を選択して殿堂入りが一つの区切りである」スタンダードなポケモンシリーズの中だという事、私は「ソード・シールド(剣盾)」シリーズをプレイしていないという事だ。

そしてこの記事を執筆する上でこちらもご覧いただきたい。X・Yまでの作曲・編曲者がまとめられているサイトであり、これを見ることで、自分がどの作曲者の曲が好みかということがわかる。また新たな面からポケモンのBGMを知ることができるだろう。是非活用していただきたい。

バーバパパ 「ウ”ィ”エ”」〜ロシアンハードベースとカオスな映像表現によるポップなアングラ文化の行く末〜

1. 戦闘!ユウキ・ハルカ

まずは「ルビー・サファイア・エメラルド」シリーズからの1曲だ。余談だが、タイトルからもわかる通りこのシリーズまではライバルの名前が固定されていて、自身で自由に名前を付けることができなかった。

次作である赤・緑のリメイク「ファイアレッド・リーフグリーン」で命名機能が追加され、当時クソガキだった私は「ふしんしゃ」と命名し友人に苦笑されたのを覚えている。

同シリーズはポケモンBGMサウンドにおける過渡期だと私は考えている。なぜなら、ビット音楽だった赤・緑や金・銀から打ち込み技術の進歩に伴って大きく音数、音色が増加し、同シリーズ以降BGMが複雑化していくからだ。

同シリーズの最大の特徴は、やはりホーン系統の音色とアナログ感が強いシンセサイザーによる、サウンドのどっしり感だろう。このどっしり感が思い出補正も含めたまらなく好きだ。個人的にはシリーズ別で最も好きなサウンドである。

その中でも屈指の名曲がライバル戦である。アルペジオのベースと低音のホーンにより戦闘の緊張感を纏った後、低音と高音のホーンがまるで主人公とライバルの会話のように順々に鳴りあうことで、戦闘の緊張感とライバルに対しての高揚感が絶妙に同居している最高の曲だ。

対ライバルの戦闘BGMはゲーム中数回しか聞けない貴重なBGMなので、ライバルとの戦闘になった際は是非音量を大きくして挑んでいただきたい。

2. 戦闘!フロンティアブレーン(シンオウ)

続いては、DPの新作品として2008年発売されたPTからの1曲だ。 バトルフロンティアはエメラルドで初登場し、そしてPTが発売されるまでは一度も登場しなかった貴重なフィールドである。その貴重さ故に、ゲーム実況者によるバトルフロンティアに関係した動画を目にすることも多い。

ポケモン史上最高と言われるほどの人気BGMである対シロナや、PTで初登場し注目を集めたギラティナの戦闘BGMが同作品では代表的だが、陰に隠れて異彩を放っているのがこの対フロンティアブレーンである。

フレーズインからの馬鹿速いテンポ、爽やかな曲調とそれに追随する疾走感がプレイヤーを最高潮までテンアゲさせる。そしてメロディではエメラルドのバトルフロンティア施設BGMが使用されていることもあり、2度目のバトルフロンティア勢への配慮も怠っていない。

https://www.youtube.com/watch?v=ECskKbB9g80

上記がエメラルドのバトルフロンティア施設BGMだ。このテンポの差をうまく落とし込み、さらに全く異なる曲調でアレンジするという離れ業を彼らは遂行してしまった。

そして、極めつけはリピート直前のベースだ。まずはシンプルにフレーズがかっこいい。「ここかっこいいでしょ」と言わんばかりに、その部分はベースのみで構成されている。個人的には史上最もかっこいいリピート直前のフレーズだ。

ちなみに私はこの曲が好きすぎて、一時期孵化作業をしている時にゲーム内BGMを切り、Youtubeでこれを流しっぱなしにするという奇行を起こしていた。そのためこの曲を聴くとなぜか孵化作業を思い出す。

3. 戦闘!チャンピオンアイリス

BWで初登場し、ホワイトではジムリーダーだったアイリスがBW2ではチャンピオンとして登場、その時のBGMがこれだ。

個人的には思い出補正なしでこのBGMがポケモン史上最高のBGMだ。

まずは冒頭の対チャンピオンBGMとは思えない曲調に度肝を抜かれる。対チャンピオン戦で冒頭がここまで明るかったBGMはないのではないだろうか。アイリスという天真爛漫なキャラクターが良くわかる側面の1つでもある。

そして華やかな出だしの裏でハネまくってるベースが良い。ベースが大きい拍感になることで幕が段々と開いていく印象を与えている。その後の四つ打ちに突入するまでのプロローグとしては完璧だ。

そしてやりすぎともいえるほどの明るいプロローグから短調に移調することで、グッと戦闘BGMとしての締りが出るが、四つ打ちのリズムにより緊張感の中にまるで観客がいるような興奮も感じられる。

そして何よりサビ、その中でもやはりメロディが泣ける。ここが歌声ならこれはもはやJ-POPだ。裏メロとして聞こえる鉄琴も脇役としていい味を出している上、サビ全体を通じてリズムを作っているシンセがすごく心地よい。

サビの1週目は裏拍でスタッカートし非常にリズミカルに進行していく中、2週目では音符が長くなり感傷的な雰囲気を味わえる。「このバトルが最後ですよ」感がひしひしと伝わってくる。

何度リピートしても聞き飽きない屈指の名BGMだろう。将来、BWがリメイクされようとも、この曲はこの曲のままでずっといてほしい。それほどの名BGMだ。

番外編. 戦闘!バトルタワートレーナー

https://www.youtube.com/watch?v=NvhSfS-8B9U&t=51s

最後に、「ソード・シールド」において1,2を争う人気BGMを紹介する。 殿堂入り後に訪れることができるバトルタワーの対トレーナー戦(以下バトルタワー戦)で流れるBGMだ。Toby Foxが作曲を手掛けているというのは非常に有名だろう。

Toby Foxとは、およそ5年前に一世を風靡した「Undertale」の作者であり、ゲーム内の全てのサウンドトラックを作曲している人物だ。上記動画は、Undertaleをやったことない人でも知っているほど有名なBGM、”Megalovania”だ。

そして、このバトルタワー戦、Toby Fox節が効きまくっている。今BGM最大の特徴が、アップテンポかつツービートのリズムによる強烈な疾走感だが、UndertaleのBGMでもそれを確認できる。

バトルタワー戦BGMと非常に親和性が高い。それもそうだ、同じ作曲家なのだから。

この”Toby Foxビート”を軸に、前半は解像度の高いホーン系統が鳴くようにメロディを奏で、後半はそれに呼応するようにエレキギターが炸裂する。

曲全体を通してアッパーな曲調で、息を呑むかっこよさがこの曲にはある。殿堂入り後にこのBGMを採用したゲームフリーク、策士と言わざるを得ない。

魅力だらけのポケモンBGM

今回は数多ある名BGMの中でも個人的に最高だと思うものを並べてみたが、記事のボリューム上惜しくも入らなかったBGMがいくつかあるので羅列しておく。「エメラルド」の対ダイゴ・「プラチナ」の対N・「X・Y」の対ゼルネアス・イベルタル、対チャンピオンあたりはこの4曲に匹敵する最高のBGMだ。

25年で生まれてきた数百曲ものBGM、個々それぞれいろいろな好みがあるだろう。思い出補正でこのBGMが好きというポケモンファンも多いではないだろうか。

この記事を読んだポケモンファンには、是非DPリメイクをプレイする前に思い出に残るBGMを聴いてほしい。

そして将来プレイするであろうDPリメイクのスパイスとなればそれは最高だ。