ディスクレビュー

ハローモンテスキュー両A面シングル『彗星/シーサイド』に宿る青春の煌めき


9月8日にハローモンテスキューが両A面シングル『彗星/シーサイド』をリリースした。
実は筆者、彼らを4年以上粛々と聴き続けてきたリスナーの一人であり今回のリリースされた新譜もすぐに聴いたが、改めて彼らは今のバンドシーンでは貴重なポジションのバンドだなあとしみじみ考えていた。

2020年も過ぎ、お茶の間で流れるJ-POPシーンやライブハウスなどのインディーズシーンでも先進的な海外の潮流を日々強く感じるのだが、私個人としては正直ちょっぴり寂しい部分もある。

お洒落なコード進行に乗ったグルーブのあるベースラインや、ド派手なシンセの音色が詰め込まれた楽曲にも、もちろん惹かれることはある。しかしその一方で直球に青春を感じれるハローモンテスキューの様なバンドが減ってきていることにもどこか寂しさを感じるのだ。

今回は彼らが新譜を出したということもあるので、つらつらと個人的にハローモンテスキューというバンドに抱いてきた想いを書き連ねていく。

甘酸っぱくも切ない音楽性

筆者が彼らを見つけたのは、先日このブログでも記事を書かせていただいたcolormalを見つけたときと同時期だったと記憶している。

MelonBooks ShopBGM Compilation:003(コンピレーションアルバム)に収録されているバンドに目を通していた時に、ハローモンテスキューという名前を見つけた。

バンドのメンバー構成を見ると、ボカロPとしても界隈で有名な708/残響P氏が作詞作曲を手掛けているとあったので、そこから彼らの色んな楽曲を聴き漁り始めた。

ハローモンテスキューの初期の代表曲といえば”ハローハロー”や”ソルファを聴いた夜に”がファンの間では挙がるのではないだろうか。なにせ筆者も数えきれない位聴きこんできた2曲である。

この曲はメンバーの708/残響P氏が初音ミクを用いて制作したものが始まりなのだが、ボカロ版の音像や、ギターの音色から既に、彼が敬愛しているASIAN KUNG-FU GENERATIONの”Re:Re”を彷彿とさせる様な青春ギターロックの雰囲気がある。

ハローモンテスキューのメンバーによる音源とボカロ版を比較しても改めて感じるのは、残響P氏の生み出す楽曲は良い意味でボーカロイド的側面に縛られていない部分だと思う。

それは制作環境などからの影響を受けつつも、彼自身が主軸として抱えている<生身のロックバンドからの影響>が色濃くアウトプットされている所以なのだろう。

筆者は学生時代に”ハローハロー”の再録前の音源をコピーバンドで演奏したことがあるのだが、ドラムフレーズの手数の多さに友人が嘆いていたことをふと思い出す。スタジオで練習していた際にも非常に青春の匂いがして楽しかった。

1st Album『告白』にも収録されている”ソルファを聴いた夜に”も、楽曲名から分かる通りASIAN KUNG-FU GENERATIONの要素を多分に含んでいる。しかしメロディからの安易な影響ではなく、主にサウンド面でのリファレンスが大きいのも、アジカンファンである筆者が彼らを好んで聴く所以である。

メロディに関しても非常に真っ直ぐでキャッチーだが、そこに甘えるのではなく要所要所で見せるコードの妙との組み合わせが、彼らにしか出せない”ハロモン節”を効かせているのだから面白い。

『彗星/ シーサイドガール』について

昨年から続く自粛期間の間にリリースしたEP”空白”を経て発売された今作は、これまでから大きく曲調がブレることはなく、洗練され続ける彼らなりの音楽性を2020年代の音楽シーンに自信を持って提示していると筆者は感じた。

特にリード曲でMVにもなっている”彗星”は、これまでのハローモンテスキューの基軸でもある、明るくもどこか不安な思春期の気持ちをポップな曲調で色付けたキラーチューンだ。

〈言葉を濁しては 深く息を吸い込んでも 喉に痞えて 引き止められない〉

と歌うVo.&Gt.はたけ嬢の声からは、甘酸っぱい青春の切なさを浮き彫りにする様な、これまで以上に感情的な歌声を強く感じる。

両A面の2つ目の楽曲である”シーサイドガール”では、晩夏の切なさに揺れ動くティーンの深層心理を色濃く表している。走り続けて火照った身体の、熱量を伴った疾走感のある楽曲となっておりこちらも必聴だ。

カップリング曲の”キミツナ”は喪失した過去に対して背中を優しく押す温かいミドルナンバーとなっており、やはり708/残響P氏のソングライティングが光る一曲となっている。

青春の真ん中を走るハローモンテスキュー

筆者自身が中高生の時期にハローモンテスキューの生み出す楽曲を聴いていたら間違いなく青春の1ページを思い出す名BGMになっていたと思う。
晴れた夏の青空の下、紙パックのリプトンを飲みながら友達とのんびり歩く帰り道なんてまさにぴったりなシチュエーションではないか。

以前、超!アニメディアでのインタビューで彼らが語っていた、<青春>というテーマが今日まで生み出した楽曲全てに引き継がれていることから、彼らがこれから出す楽曲にもその芯を通していくことが予想できる。

音楽シーンの変遷と共にリスナーの聴くジャンルも変わると思うがこれからも彼らの生み出す楽曲は、ティーンの青春と深く混ざり合うのだろう。